クリプトコリネ属は、1828年にFISCHERによって紹介された。
最初に紹介された種類は、ArumとAmbriosiniaである。
クリプトコリネ スピラリスC.spiralis(RETZ)は、FISCHERによって、1779年に Arum spirale RETZとして記載されている。
第2によく知られている種として、クリプトコリネ キリアータC.ciliata (ROXB.)であり、FISCHERは1819に、
Ambrosinia ciliata ROXBとして記載された。以下の種類、クリプトコリネ レトロスピラリスC. retrospiralis
(ROXB.)は
FISCHERによって1832年に、Ambrosinia retrospiralis ROXB.として記載された。
クリプトコリネ属は、ラゲナンドラ属Lagenandraなどと共にサトイモ科(Araceae)である。
クリプトコリネ属は4~8程度のめしべがあるのに対して、ラゲナンドラ属 Lagenandra はおびただしい数の雌しべがある。
それが両者を別ける違いといえよう。
さまざまな熱帯性植物の中で
特にクリプトコリネ属サトイモ科(Araceae)は神秘的な植物の部類に入るのではなかろうか。
クリプトコリネはインドからパプアニューギニアまでという限られた分布を持つ水陸両用の植物である。
クリプトコリネはその種の維持の重要性と
美しさを持ち合わせており誠に風格があり又愛着のある水草である。
初心者の方からマニアの方まで、又水草栽培家からレイアウターまで、
水草と言われている植物の中で、通らなくてはならない関所のような存在の植物であろう。
通常は水草として、アクアリュウム環境に導入するのが一般的である。
多くのクリプトコリネ愛好家もアクアリュウム環境で、この草の魅力に引き込まれたのではなかろうか。
また、水中と水上を演出するアクアテラリューム等でも使え、
完全水上での鉢植え栽培まで幅広い栽培法があり、
栽培者の創意工夫でバラエティーに富んだ楽しみ方が出来るのも大きな特徴といえるのではなかろうか。
その一つは葉の形状が特徴的で水槽管理環境により、微妙に形状や色などを変化させる点にあり、
水槽で長年栽培されていた株は専門家でも容易に種の断定をするのは困難である。
水中・半水中・水上・等極端に変身を遂げるものもあり、飽きさせない魅力を持っている。
そのことが種の同定に混乱をまねき、間違って流通していることも多いほどである。
クリプトコリネ属は主に密林の中のゆっくりした流れのある場所に自生しており、完全水中から水上にかけて
ひっそりと繁茂している。
また大きな河川の下流域の岸辺や、山間部の上流でも流れが緩やかな場所や、さらに山間部の岩盤にも繁茂している種類もある。
種類によりさまざまな生息環境があることを御理解いただきたい。
Cryptocoryneという学名は、花の咲き方から付けられた名で、サトイモ科の植物には、
花序 Inflorescence (花軸に生じる花の配置状態) は非常に美しい仏炎苞に包まれていて、各種ごとに分類学上の特徴の重要なものの1つになっている。
Cryptoは
<隠れている、秘密の、神秘的な、地下室>
等を意味し、coryneは<花序>、つまり<花序が隠れている>花の咲き方を意味している。
クリプトコリネの根は非常に大切なもので、種類や環境によっては30cm以上になるものがあり、植え替えの時などに根をいためると衰えたりすることもある。
根茎には地下茎があり、不定根を生じそれが発達しひげ根茎を作る。
根茎基部のえき芽が水平に伸びる匍匐枝を作り新固体を生じ繁殖している。
クリプトコリネは多くの場合、株分けにより繁殖させるのが普通である。
クリプトコリネは東洋の植物であるが、東洋人である私達はこの草についての研究が遅れていることは非常に残念なことである。ヨーロッパにおけるクリプトコリネ研究は1800年代から続いており、研究の広さと奥深さに驚かされる。この一見無用の植物と見られる物に対しても、その研究は熱心であり探究心や愛情のレベルは計り知れないのである。