クリプトコリネの栽培は難しいという声を良く聞くが、それは自生地のデーターが少なく
不明な点が多いことが起因しているのだろう。
だからといって、始めから難しく考えすぎて始めの一歩を踏み出さないのは非常に残念なことである。
そのようなクリプトコリネの栽培は栽培者の創意工夫により、徐々にではあるが栽培法を確立しているようだ。
一言でクリプトコリネの栽培の方法といっても種々さまざまであるが、
その自生環境を少しでも理解することが、成功への近道ではなかろうか。
まずは一般的に入手出来るクリプトコリネを大きく2つに分けると
① ファーム栽培物 ② 現地採集物
に分けられる。 ① ファーム栽培物
最も一般的に流通しているのはファーム型で、
特にポットで入荷するものは
一目で確認することができる。
このタイプで入手のものは
栽培が容易であることが多いので、
入門の方には特にお薦めで、
なかでもロックウールなどに
がっちりかんだ根を持っているものを
選んだ場合はなおさらである。
ロックウールで栽培されていたということは、
自生地採集物に比べ、
土壌にさほど気を使う必要がなく栽培しやすい点にあるだろう。
ファームではあらかじめ液肥などが入れられている腰水にポットを整然と並べ栽培している。ただ気をつけなければならないのが、ファームから出荷するものでも、種類によっては採集したクリプトを簡易的にポットに入れるものもある。
これはファーム側でも長期間維持するのが困難な種類に多いようでそのような株の場合は自生地採集物を参考にして欲しい。
② 現地採集物
一般的に現地採集物は地域別で分類するが、栽培においては自生環境別で
見ていくのが良いだろう。
一口にボルネオといっても
PH3~8台などの自生環境があり
注意が必要である。
そこでその環境を基に
大きく2つの形態に分けると
・ 山間部細流型
・ 泥炭湿地型
に分けられる。
山間部細流型は山間部を緩やかに流れる細流で、
水質は中性付近を示し、
珪砂と粘土層で構成されていることが多い。
この自生環境では、水中栽培には向く細葉系の種類が多いが、
水上栽培では難易度が高いものも存在するようである。
自生地では水中葉は大型化しても、
水上葉は極めて小型になるものもある。
例えばキーの水中葉は20cmほどの物も存在するが、
開花している水上葉は葉長2cm~4cm程度のものが多かった。
クリスパチュラやアポノゲチフォリアなど細葉系の代表種も
その傾向が強いようである。
共通していえることは、比較的固めの粘土層に
根をはわせていることが多い。
よって栽培環境の土壌配合では、
粒の細かい砂とけと土などの粘土質の土壌を
上手く配合していくと成功率が高くなるようである。
泥炭湿地型は原生林の樹木の枯れ葉が多く堆積した中の
腐植酸の影響を受けた湧水付近や、
その水が流れ込む小川や池なども同じくこの型と考えてよい。
水の色はブラックウォータで、流れも比較的緩やかである。
この自生環境では
ロンギカウダやゾナータなどの丸葉系の種類が多く、
人気がある魅力的な草が多い。
栽培的にはさほど難しくはなく
土壌配合で腐葉土を多めに組み合わせれば
問題なく栽培できるであろう。
さらに泥炭湿地型は降雨量の影響を受けやすいので、
水中・水上どちらの栽培でも楽しめるが、
最も自生地の状態に仕上げたい場合は
是非、半水中栽培も試してもらいたい。